ビタミンD 大腸ガン 乳がん を防ぐ ビタミンD は、がんの発生 再発 転移の予防に大きな効果があります。 多くのがん患者が不足よりも重い、「ビタミンD欠乏症」であると報告されています。
サンシャインビタミン ビタミンD 大腸ガン 乳がん を防ぐ
- 主成分
- エルゴカルシフェロール ( D2 )、コレカルシフェロール (D3)
- 効能
- 骨を強くする、カルシウムの吸収を高める、ガン予防、抗菌効果
- 副作用
- 過剰摂取で吐き気、嘔吐、食欲不振
- 注意
- チアジド系利尿薬と併用すると高カルシウム血症に
世界中で ビタミンD 旋風が起きています。古くから
- 骨を強くする
- カルシウムの吸収を高める
ことで知られている ビタミン であり、別段、目新しいものではないのに「なぜ? 」と思ってしまいます。
ビタミンD にがんを予防したり、抗菌効果があることが判明しました。
まず、 ビタミンD が発見されたいきさつです。脚や背骨が曲がり、直立すると脚が0字型に開く病気があります。くる病です。
17世紀のイギリスの子どもたちに蔓延したので、イギリス病とも揶揄されました。1824年ころ、ドイツの研究者が、肝油にくる病予防と治療の効果があることを発見したのですが、この治療法は広まりませんでした。
理由の1つは、当時の医師たちが、食物には健康に欠かせない微量栄養素が含まれていることを知らなかったことにありました。
やがて、食べ物で実験的に くる病 を発生させたラットに、日光浴させても、肝油を食べさせても、病気が治癒することが発見されました。それから 100 年近くも経過した 1922 年、皮膚と肝油に含まれる重要な因子がついに捕らえられました。この因子は ビタミンD と名づけられました。
以来、 ビタミンD は、骨を強くする栄養素とばかり思われてきましが、最近になって、 ビタミンD には、がんや感染症を防ぐという効果もあることが新たに判明し、大ニュースとなりました。
ビタミンD の新しく発見された効果が最大になるのは、一般的な人々の血液中に含まれる量よりはるかに高いレベルのときであることも判明しました。疫学研究からは、 ビタミンD がやや不足するだけでがんなどの病気にかかりやすくなることが確認されました。
つまり、 ビタミンD は大多数の人々に不足気味ということです。
乳がん 半数を予防できる
ビタミンD を適度に摂っている人は、
- 大腸がん
- 乳がん
- 膵臓がん
- 皮膚がん
- 前立腺がん
にかかりにくいことが経験的に知られています。その真偽を科学的に確かめるために、いくつもの治験が行われてきました。
その 1 つは、カリフォルニア大学サンディエゴ校( UCSD ) 医学部のセドリック・ガーランド教授らのグループが主導する治験でした。
2007 年、同グループは、 ビタミンD の摂取により、乳がんの半数を予防できる可能性があることを「ステロイドの生化学と分子生物学」誌に発表しました。
まず、1760 人の女性を ビタミンD の血中濃度によって、血液 1 ml 中 13 ナノグラム( 13 ng/ ml と表記、1 ナノグラムは 10 億分の 1 g ) 以下のいちばん低いグループからいちばん高いグループ( およそ 52 ng/ ml ) まで、 5 グループに分けました。
そして、グループごとの乳がん雁患率をくらべたところ、いちばん低いグループがいちばん高かったばかりか、 ビタミンD の血中濃度が上がるにつれ、乳がんの罹患率は低下しました。
すなわち、ビタミンD に用量-反応の関係が確認されたのです。 ビタミンD の血中濃度と乳がんの雁患率との間に因果関係があること、すなわち、両者は原因と結果の関係にあることが裏付けられました。
また、同大学のエドワード・ゴーハム教授らのグループは、ビタミンD の摂取によって、大腸がんの 3 分の 2 までが予防できるという可能性を、2007 年の「米国予防医学」誌に発表しました。この調査でも乳がんのケースと同じように、1448人をビタミンD の血中濃度別に 5 グループに分け、大腸がんの雁患率を25年間にわたって追跡しました。
結果は、血液 1 ml 中34 ナノグラムの人は、いちばん低いグループにくらべて雁患率が半分になり、血中濃度 46 ナノグラムの人は雁患率が 3 分の 1 に減少していました。
ビタミンD の血中濃度が上がるにつれ、大腸がんの雁患率は低下していったことから、ここでも用量-反応の関係が確認されました。
活性型D が遺伝子をオンに
実は、 ビタミンD といっても 1 種類の物質を指すのではありません。エルゴカルシフェロール( D2 ) とコレカルシフェロール( D3 ) の総称です。植物に含まれるエルゴステロールに日光が当たってD2 ができる。一方、D3 は、日光が皮膚に当たってできます。
D2 も D3 もそれ自体では効果はありません。だが、摂取された後に代謝を受けて、「 活性型ビタミンD 」にモデルチェンジしてはじめて効果を発揮します。そこで、これを利用して新しいタイプの抗がん剤をつくろうと、研究が進められています。
その 1 つが、「活性型ビタミンD 」によく似た合成化合物EB1089 です。この物質を加えることで、マウスのがん細胞の増殖が 80 % 抑えられました。
同じような結果は、マウスの乳がんや前立腺がんでも得られています。「 活性型ビタミンD 」は、次のようにしてがん細胞の増殖を抑えるのではないだろうかと考えます。
まず、摂取された「 活性型ビタミンD 」は細胞の核内に入り DNA に結合し、いくつもの遺伝子のスイッチをオンにします。そういった遺伝子の 1 つが、細胞増殖を抑える ガド45α です。また、がん細胞に自殺を命令する遺伝子もオンになることが確認されています。
日光浴で結核が治る不思議
抗生物質が発見される以前の 20 世紀初めのころは、日光浴だけが結核に有効な唯一治療法として知られていました。
結核に効く理由は誰にも説明できなかったのですが、日当たりのよい療養施設で結核患者は、しばしば健康を回復できたのです。
今では、これは、日光をあびて皮膚で ビタミンD がつくられ、血液の流れにのって全身に行き渡ることが判明しています。だから厳密に言うと、 ビタミンD はビタミンではなく、ホルモンです。
日光浴で結核が治る謎は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校 のロバート・モドリン教授のグループが解明しました。
同グループは、結核などの病原体が人体に侵入したときに ビタミンD が引き金となって、病原体を殺す「 カテリシジン 」という小型タンパク質がつくられることを発見しされまた。これでようやく、日光浴で結核が治るという不思議な現象は、 ビタミンD によって活性化された免疫系のはたらきにより、結核菌などの病原体を殺すカテリシジンがつくられることで説明がついきました。
2倍以上摂らなければならない
ゴーハム教授によると、血中濃度46 ナノグラム というレベルを達成するには、 1 日 50 ㎍ の ビタミンD を摂取するか、あるいは、身体の半分以上が露出する姿で、白人なら昼頃10 〜 15 分間、皮膚の色が濃い人では 25 分間の日光浴をすればよいとのことです。
過剰な日光浴が皮膚にダメージを引き起こすことが周知されるようになったのはよいことだと思うが、逆に日光浴をする人が極度に減り、 ビタミンD 不足を招いています。アメリカやヨーロッパでは、ビタミンD の 1 日推奨量を年齢に応じて 5 〜 15 ㎍ と定めています。
ビタミンD に関する多くの治験データを調査したハーバード大学公衆衛生学科や他の研究者たちは、この推奨量が少なすぎるという意見を発表した。彼らは、健康でいられる最低限の ビタミンD 血中濃度は30 ng/ml で、それには 1 日に25 ㎍ を摂取すべきだと主張しています。
ちなみに、日本では、 ビタミンD の1日目安量(推奨量が示されていないので目安量を記す) を 2.5 〜 5 ㎍ と定めていますが、この数値はほかの研究者たちの推奨量にくらべて格段に少ない値です。今が、日本でも ビタミンD の1日推奨量を再考するよい機会です。
薬との併用には注意が必要
- フェノバルビタール
- バルプロ酸
- フェニトイン
- コルチコステロイド
- シメチジン
- ヘパリン
- イソニアジド
- リファンピシン
などを服用すると ビタミンD の吸収が低下したり、分解が促進するので、 ビタミンD の摂取が求められます。
一方、チアジド系利尿薬を服用している人は、サブリによるビタミンD摂取は避けるのが賢明です。これらを併用すると腎臓でカルシウムの再吸収が促進されるため、「高カルシウム血症」を起こす恐れがある。高カルシウム血症になると、
- 食欲不振
- 吐き気
- 嘔吐
- 便秘
- 腹痛
- 頻尿
などの軽い症状から、不安や意識不明など重い症状まであらわれることもあります。